2022年に地域おこし協力隊として須崎に移住した川島さん。協力隊のミッションから引き続き、須崎総合高校で地域と高校を結ぶ取り組みをされています。今回は、そんな川島さんが須崎に移住した経緯や須崎の魅力を伺いました。
 
―――これまではどんな仕事をされていたのですか?
「以前は、浅草で父親から引き継いだ革屋を経営していて、靴のパーツとなる革を作っていました。それとは別に、地元の人たちで地域ブランディングのイベントもしていましたね。そんなときに、須崎市の職員(以下Aさん)の方と出会って、その方が東京に来た時にはよく会っていました。」
 
―――もともと須崎に縁があったんですね。
「須崎には2回ほど来たことがあって、とにかく人が元気だなという印象を受けました。それと、魚が美味しくて景色がきれい。初めて行ったときは、一棟貸しの宿泊施設に泊まって、住民の方々が集まってくれました。なんでこんなに人が集まってくるんだろう?と不思議に思っていたら、Aさんが「浅草の活動をプレゼンしろ」という無茶ぶりを(笑)2回目来たときは、安和の民家に泊まって、住民の方と残菜プロジェクトの話をしたり、須崎の方との交流の機会はありましたね。今まで色んな地域に行って、プレゼンをする機会がありましたが、ここまで反応がいい地域はあまりなかったと思います。」
 
―――川島さんが須崎に来たのは、Aさんとの出会いと強引な無茶ぶりがきっかけになっていたそうです。順調に浅草で活動をしていた川島さんは、ある転機を迎えました。
「浅草で色々と楽しく活動していたのですが、体調を崩してしまい、仕事を辞めることにしました。そんな時にAさんから「須崎に来て協力してくれないか?」という誘いがありまして、高校と地域を結ぶというミッションで、協力隊として須崎に移住すると決めました。ミッションをひとことで言うなら、「高校生と地元の大人を繋ぐ役割」です。授業の一環で地域振興を学ぶ生徒を、事業所と繋げています。逆に事業所の課題を、生徒の力を借りて解決して欲しいという要望があれば、僕が仲介役になります。もともと人と人を結ぶことが好きで、地域ブランディングの活動もしていたので、今までやっていたことの延長線でやっていける気がした。行ったことがあるとはいえ、知らない町なので少しだけ不安もありましたが、なんとかなるだろうと。」
 
―――決断は思い切ってする方なのですか?
「後からなんでこんなことしたんだろうと思うときもあれば、考えすぎかなってときもあります。でも、やる気がある人と話していると面白いですよね。プレゼンの反応もすごくよかったし、女性も多くて全体的に活気を感じました。やっぱり人を巻き込んで何かをすることが好きなので、須崎への移住を決断しました。後からAさんに聞くと、出会って無茶ぶりしていたときは、まさか須崎に来るとは思っていなかったそうです(笑)」
 
―――須崎の地域や人柄に惹かれたんですね
「住民の方が自分のことを面白がってくれているんですかね(笑)いい意味で自分に興味を持ってくれていると感じます。協力隊の任期が近づいてきているときも、市長が気にかけてくれたり、周りの方々のおかげで今も活動を続けられていますね。犬を飼っているのですが、遠方に用事があるときは、大家さんが面倒を見てくれたり。」
 
―――大家さんがワンちゃんのお世話をしてくれるんですか!?
「世間話の感覚で軽く相談したら、大家さんの方から申し出てくれました。本当にありがたいですよね。」
 
―――地域の温かさに触れている川島さん。さまざまなご縁の連なりで、須崎に辿り着きましたが、移住して一番良かったと感じることを聞いてみました。
「何よりも健康になったことですね。浅草にいた頃は、仕事もハードだったし、毎晩飲み歩いていました。新しい人脈を作るのは楽しかったです。自宅から繁華街まですぐ着く距離だったので、「今日はしんどいかな」って思っていても、誘われたら飲みに行ってました。そんな生活を続けていると、数分先のコンビニまで歩いただけでも激しい息切れを起こすようになって、これはダメだなと。今では、健康診断で見たことない良い数値が出ています(笑)」
 
―――今の生活のリズムはいかがですか?
「5時40分頃に始発が家の近くを走るので、それを目覚まし代わりにして起きています。夜は22時から22時半くらいには寝ていますね。お酒は好きだから、今でも飲みに行きますけど、0時を過ぎるとタクシーが走っていないので、夜更かしすることもありません。」
 
―――お酒が好きとのことですが、須崎で好きな食べ物など教えてください。
「なんと言っても新子(しんこ)ですね。ソウダガツオの稚魚を刺身にして食べるものです。去年の夏に古市楽座のイベントで釣れたてを食べましたけど、本当に美味しかったですね。」
 
―――移住を検討している方にアドバイス、もしくは住んでみて感じたギャップなどありますか?
「思ったより田舎じゃないなとは思いました。ちょうどいい田舎というか。中心市街地なら自転車があれば大丈夫ですけど、少し外れると車がないと厳しいですね。電車の本数が多くないので、車はあった方がいいと思います。浅草に住んでいたときは下水だったので、浄化槽は臭いが気になるかと思いましたが、住んでみると意外と気にならなかったですね。」
 
―――須崎でお気に入りの場所を教えてください。
「安和の駅から見た海岸は何度見ても飽きませんね。夏になると、集落活動センターでみんなで集まって飲むのですが、地元のおじいちゃんがずっと海を見ている。どうしたのかと思って聞くと、「船が動いているだろ。これがつまみになる、動く絵のようだ」と。達観していてすごいですよね。僕はまだその境地にいかなくていいですけど(笑)」
 

 
―――最後に須崎で今後やりたいことを
「今やっていることは、前の仕事と違って形が見えにくいですが、結果と評価を見てみたいと思っています。地道な作業なので、わかりやすい成果が出るわけではないと思いますが…。何年後かに人口が思ったより減っていなくて、「振り返るとあれをやってたからじゃない?」と言ってもらえるようになっていたら嬉しいです。」
 
ご縁に委ねていつしか須崎に辿り着いた川島さん。お話を聞いて改めて須崎の人の温かさを感じました。今後の活動も応援しています!きっといつか川島さんのもとへ、成果の声が届くはずです…!
 
(2025年7月取材:片田・大﨑)
 
取材記事をまとめてくれた、須崎市地域おこし協力隊片田さんによる、ビデオエッセイ「須崎総合高校にてー川島武雄さん」
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