今回は奥四万十地域の観光情報を発信している「奥四万十観光協議会」を取材させていただきました!
●奥四万十観光協議会って?
「高幡広域市町村圏事務組合」という須崎市をはじめとする津野町・中土佐町・梼原町・四万十町の5つの町で構成されている組織の下に、観光を専門として「奥四万十観光協議会」が位置しています。
2016年に開催された「奥四万十博」をきっかけに協議会が設立。それまでは組織内でパンフレット等の作成はしていたものの、観光プランを立案やツアーの企画等はされていなかったそうです。
現在の観光協議会のスタッフは事務局長、会計年度任用職員2名の計3名で運営をされています。
今回は会計年度任用職員の笹岡敦子(ささおか あつこ)さんにお話しを伺いました!
●奥四万十観光協議会はどんな仕事をしているの?
須崎市には奥四万十観光協議会の他に「須崎市観光協会」という団体もありますが、仕事内容は観光協会とは少し違うそうです!普段どんなお仕事をしているのか伺いました!
「奥四万十地域のガイドブックやガイドマップ、外国人向けのガイドマップの作成以外にも、地域の事業者向けの研修会や講習会の企画・運営、各観光施設へ講習会などの情報のアナウンス、県外へのセールス活動など業務内容は多岐に渡ります。観光協議会のスタッフは3名ですが、地区ごとに担当者が付いているというわけではなく、全員がエリア全体を見ながら動いています。実は、観光協議会として本格的に始動したのは2019年からで、それまでは準備期間という形で奥四万十地域の観光情報のリサーチや情報の整理も行っていました。現在は「奥四万十・じも旅キャンペーン」を開催していますので、そちらをメインに動いています。その他にも、一般のお客様から経路についてのお問合せや、パンフレットを送付してほしいとの依頼もありますので、都度対応をしています。奥四万十地域に隣接している観光場所についてのお問合せもありますが、その場合はその地域の観光協会をご紹介させていただいています。観光協会さんのようにお客様と直接対面してご紹介することはほとんどなく、主に事業所や市町、高知県とのやりとりが多いです。」
●外国人観光客の方へも力を入れています。
現在はコロナ禍で外国人観光客の数もグッと数が少なくなりましたが、コロナ禍以前は様々なくにから外国人観光客も多く訪れていました。浄化傾向にある外国人観光客への対応について、奥四万十地域ではどのようなことをしているのでしょうか?
「奥四万十観光協議会では、英語・中国語のパンフレットの作成、ホームページの多言語化をしています。その他にも、インバウンドの講習・研修会や外国語研修セミナーなど県の事業で開催されているので、奥四万十エリアの事業者の皆様にお声掛けするなど、地域の事業者へのインバウンド対応強化をお手伝いさせていただいておりますが、外国人観光客への取り組みに関してはまだまだこれからの部分が多いのが現状です。高知に訪れる外国人観光客は2パターンあって、お遍路など少人数で来る旅行者の方とクルーズ船などで来るツアー客の方がいらっしゃいます。個人のお客様はいろいろな場所に行かれる方が多く「この場所に行きたい」と来られる方も多いので、すぐに案内ができるようにすることが課題です。ツアー客の方に対しても、奥四万十地域に来ていただくためのプランを考えていこうとしていた矢先にコロナウイルスが流行してしまいましたが、これから再開されたときのために向けて環境を整えていく予定です。」
●観光に関わる仕事をする機会が多かった
奥四万十観光協議会のお仕事を楽しんでいる笹岡さん。20代の頃は印刷会社やデザイン会社のデザイナーをするなど、直接ではないけれど観光に関わったお仕事をされていたそうです!
どんなお仕事をされていたのでしょうか?
「7~8年くらいチラシやポスター、HPの作成などデザインの仕事をしていました。結婚を機に須崎市へ来てもデザインの仕事は続けていたのですが、子育てを機に事務所を退職し、須崎でデザインの仕事をもらうべく須崎市内を回っていました。話をするにも須崎市内のことを知っておかないと!と思い色んなところへ行っていました。その当時はブログもしていたので、ブログで地域の人と繋がることも多かったですね。いろいろな仕事をしている中でNPO法人へも勤務をしていたんですが、須崎の情報を載せた「まけまけ」というフリーペーパーが色んな人と知り合うきっかけにもなりました。須崎での仕事もそうですが、デザイナー時代も観光に関する記事を取り扱うページの作成も行っていたので、県内の行ったことない場所・お祭りを知れることも楽しかったです。現在とやっていることは違いますが、振り返ってみると観光の分野に寄った仕事をする機会が多かったんだなと思います。」
奥四万十観光協議会でのお仕事は「いろいろなことが勉強になります」とお話をしてくれました。
「私自身、須崎市のことしか知らなかったんですが、この仕事を始めてそれぞれの街の色を見ることができてとても勉強になっています。それぞれの街によっても地元店舗への協力方法も違いなどがあります。「このやり方が正解」というわけでなく、町と人の気質・考え方・環境によって違うことが見られるのでとても面白いです。また、役場や市役所の人たちが広い地域の中でも地区の違いを考えながら動いているのもこの仕事を通してすごく分かりますし、勉強になります。」
一方で、やはり大変なことも多いのが『観光』というお仕事。奥四万十という広い地域の情報を発信するお仕事なので、大変な部分もあるそうです。
「奥四万十観光協議会に勤めるまでは趣味でいろいろ行ったりはしていたんですが、知らない部分も多かったです。実際に「行って」「見て」「食べて」ということをしないと知らないままでは街の人と話をすることもできませんし、いいアイデアも出てきません。なので、私も実際に「行って」「見て」「食べる」以外にもガイドブックを読んだりしていました。個人的に地図を見ることが大好きなので、やたら地図を見たり知らない場所は知っている人に聞いたりして情報を集めていきました。本当は休みの日に回ったりできるのが一番なんですが、子育てをしているとなかなか難しいので行けるときには行って体験したりしています。」
(左:須崎市・シーカヤック体験/右:津野町・“ツノトゥク”体験)
●奥四万十地域は魅力の宝庫!
奥四万十地域を知る笹岡さんが思う『奥四万十の魅力』をずばり聞いてみましょう!
「奥四万十地域の魅力は私の色眼鏡かもしれませんが、よく言われる『海・山・川』以外にも食べ物がダントツに美味しいです!魚も山の物も美味しいですし、おいしいお店も奥四万十地域にはたくさんありますよ。」
それぞれの町の魅力についても聞いてみました!
「それぞれの魅力をお話すると、梼原町はなんと言っても『隈研吾さんの建築物』が有名ですよね。小さなミュージアムはオススメです。四万十川源流点がある津野町は『集落支援センター』がとても活動的ですし、『津野茶』も精力的に売り出しています。中土佐町は久礼大正町市場が有名ですが、青柳裕介さんの「土佐の一本釣り」そのままの原風景を味わえるいい場所です。四万十町は窪川の町中、大正の山、十和方面はジップラインも新しくできたのでどこでも観光が楽しめます。須崎市は魚・野菜も美味しくオールマイティな場所です。観光はまだ弱い部分もありますが、須崎市観光協会さんも新しくなったのでこれからどんどん魅力的な市になってくると思います!奥四万十地域は観光が一点集中していることがなく、各市町に温泉もありますし「あの町ばかり…」という感じになることもなくバランスがよく取れているなと感じます。それぞれに魅力があるので、ぜひ遊びに来ていただきたいですね!」
(左:梼原町・雲の上の図書館/右:中土佐町大野見のひまわり畑)
●笹岡さんが住む「須崎市」の魅力は、やはり【海】
結婚を機に須崎市に来られた笹岡さん。観光という仕事をしているため少し違う視点で見るように日ごろから心がけているそうです。須崎の魅力はどのようなところにあるのでしょうか?
「その場所に住んでいるとどうしても『慣れ』が出てきてしまうので、日ごろから客観的に見るようにしているんですけど、そうすることによって『当たり前のことが当たり前じゃない』ということに気づくことができます。須崎市は魚・野菜以外の魅力でいうとやはり【海】でしょうか。穏やかな浦ノ内の内海、外海の太平洋の景色両方を持っているということは最大の武器だと思います。シーカヤックも外・内の両方で楽しめますしね!景色はそこの町だからこそ見える景色で、その場所でしか見られません。色んな場所から色んな【海】の姿を見られることは、全国で見てもあまりないと思います。他にも、須崎市の過去を知ることでより須崎の魅力を見つけることができ、観光の発想にも繋がります。」
(左上:須崎湾/右上:安和海岸/左下:浦ノ内湾/右下:横波)
●観光業界で働くには「旅行が好き」というだけでは難しい
最後に、観光業界で働くにはどのようなスキルがあればいいのか教えていただきました!
「観光の仕事はお客様にオススメしたい場所がすぐ答えられるかが大事だと私は思います。その場所を知りたい欲も必要になってきますし、ただ単に「旅行が好き」というだけでは厳しいかもしれません。旅行は『自分が満足するもの』、観光業は『人に紹介・オススメしたりすること』なので、客観的に見る力も必要だと思います。もちろんその場所が好き、物が好きという気持ちを『その場所のことを言いたい、紹介したい』に変えられると一番ですね!私自身も仕事をするうえで何を吸収しなきゃいけないのかを考えながら、情報発信・PCスキルなど、仕事を通してアップデートをしています。観光業界を目指す人も今自分がしている作業の一つを覚えていければ生かすこともできるので、雑にしないよう大切にしてください。」
ご協力いただき、ありがとうございました!
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