野見湾が見える高台にうつわの工房兼ギャラリーを構える『うつわ日月』さんを訪ねました。
とっても素敵な雰囲気の工房ですよね。
工房がある場所は野見湾を臨む高台にありますが、まわりは木々が生い茂る緑豊かな場所で、とても静かな場所です。この日も鳥のさえずりや蝉の鳴き声、風で木々が揺れる音など、自然が奏でる音が耳に優しく届いていました。私、これだけで、すごく癒されてしまいました(#^.^#)
こちらの工房を構える小坂さんご夫妻は、17年前に東京から須崎へ移住してこられました。ご主人の小坂明さんは、東京・国分寺市で生まれ育ち、国分寺市で開窯され、長年、器や急須などを作られている陶芸家さんです。
小坂さんの作る器には、全国にたくさんのファンがいらっしゃいます。
案内された2階のギャラリー&お店には、シンプルでいて使い勝手の良さにとことんこだわった作品たちが並べられていました。
小坂さんが生まれ育った国分寺市は、今年の夏の甲子園を沸かせた早稲田実業校がある街です。
住んでいた場所は道が狭く、よく渋滞を起こしていたところで、かねてから海が見えるところで仕事がしたいと思っていたそうです。
小坂さんはお仕事柄、日本全国の様々な場所で作品の展示会を行っています。
「いつか海の見える場所で暮らしたい」との想いを抱きながら全国を回って10年目のある日、高知で展示会を開くことになりました。
高知での展示会が開かれた時に、訪れたお客さまに「海の見える良い場所はないか」と聞いたところ、これぞ高知県民ともいうべき愛すべきおせっかいがフルパワーで発揮され、あれよあれよと言う間にいろんな場所を案内してもらったんだとか。
はじめは実家のある東京のことを考え、飛行場周辺の地域を検討していたそうですが、高知県内をいろいろ案内してもらっている最中、高知のお知り合いの方のお父様が前須崎市長とお知り合いだったご縁で須崎を訪れたところ、非常に熱心に須崎を案内してくれたんだそうです。
このことをきっかけに、須崎に移住することになったのですが、当時はまだ今のように移住に対する体制もそこまで整ってはおらず、土地や家を探すのに、とってもご苦労されたそうです。
また、ようやく土地が見つかっても、そこには水道が通っていなかったりと、一筋縄ではいかなかったそうで、「あの時代に、暮らすさきのようなところがあったら良かったなぁ」と当時を思い出しながらおっしゃっていた言葉が印象的でした。
移住するまで高知とは無縁だった小坂さんご夫妻。
田舎への移住がひとつの生き方として当たり前になってきた今、移住を考える方にとっては、ネットや相談会等で現在の暮らしを営みながら情報を手にすることができます。
また、現在は、移住を受け入れる側の各自治体も移住者の方が来やすいようにそしてずっとその土地にいてくれるように様々な対策を行っています。
でも、小坂さんご夫妻が須崎にいらした17年前は、今のようなきめ細かい情報や対応がまだまだ無かった時代だったと思います。
そんな中、未知の土地で暮らしていくための準備をすることが如何に大変だったか、想像するととてつもないご苦労だったと改めて感じました。
小坂さんに須崎の人柄について聞いてみたところ、「裏表がなく分かりやすい。会合などで本音で話していると、ここまで言ったらもうここには住んでいられないだろうと思う時があるが、周りの人はまったく気にせず付き合いも変わらない。とても不思議なところ」と笑顔で仰っていました。
これ、私もものすごく同感してしまいました!
多分、他県の人からすると本音で話すってこと自体が結構難しいって思ってる方が多いと思います。
本音を言ってそれが回りと違う意見だった時、人間関係の存続に関わるってほど、本音を言う事がはばかられる風潮があるような気がします。
でも、不思議とこちらでは本音トークが当たり前で、腹の中を見せ合った後は、後も引かずにスッキリ終るって感じなんですよね。
そうそう、小坂さんの工房にはこんな素敵な急須もあります。
お話しを聞かせていただいた2階からは、目の前に広がる野見湾を楽しむことができます。
軽妙な掛け合いで会話が弾む小坂さんご夫妻とお話ししていると、楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。
ご主人、奥様、ざっくばらんにいろんなお話を聞かせてくださって、本当にありがとうございました。“普段の暮らしで使う”ことにこだわった器をお探しの方には、ぜひ訪れてほしい場所です。
『うつわ日月』さんの詳しい情報はこちらから⇒ポケットすさき『うつわ日月』
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