今回、「てけてけ農園」さんにお話しを伺ってきました。
 

 
てけてけ農園は、須崎市へ移住された高木ご夫妻が経営する農園です。
(移住の経緯などについてはこちら→
 

 
2017年7月からハウスでシシトウ栽培を行っていて、初年度の収穫が終わったところです。
今(8月)は土作りがメインで、来作のための畝立てが終わったところということでした。
 
もともとIT企業にお勤めでデスクワーク中心だった高木さん。農業は辛く無いのかと聞いて見たところ、「体力仕事が多いのでしんどいことは多いです。いきなり始めたら一年保たなかったかもしれません。移住してきて最初の一年は県の農業担い手育成センターで技術と知識を学び、次の一年は現地の農家さんのところで研修したので、だんだんと体力はついてきたのかな、と思います。とはいえ、トラクターで耕運しているだけでもへとへとになります。いつも体のどこかは痛かったりしますよ。」と答えてくれました。
 

 
実は、農業担い手育成センターにいたことろは「ナス」の栽培を希望していたとのこと。どうして「シシトウ」へと変えられたのか聞いてみました。
「ナスは葉っぱに細かい毛が付いていて、それで嫁がくしゃみが出て止まらなくなっちゃって。それが考え直す最初のきっかけでした。生活を考えると、ナスだとそれなりの収入を得るためには30a(アール)は必要なんですが、ツテも無い移住者の僕らにはそれだけの面積のハウスを確保するのが難しかった。そこで、単位面積当たりの収入が良いシシトウの栽培を考えるようになりました。」
ナスへの未練はないのか、気になりましたが、
「センターで研修するまではシシトウは考えてもいませんでした。多品目を経験して出した結論なので未練はないですね。ナスも機会があればチャレンジしてみたいですが、嫁のくしゃみが止まらないと大変なので。」と笑っておられました。
 
収穫したシシトウは全量をJAへ出荷しています。
ハウスのレンタル事業や営農指導など、JAによるサポートもあることながら、しっかりとした販売網があるので現状では最適な出荷先であるとのこと。
何より、パック詰めをJAがやってくれるのがすごく助かっているそうです。(地区によってはパック詰めも農家の仕事のところがあります。)
栽培に注力させてもらえるところが、須崎のJAの良さでもあるとのことでした。
前作は初年度でありながら地区の平均反収を超えることはできたのですが、JAからは「とりあえず合格だけど、まだまだ」と言われたそうです。厳しい評価ですが、トップ農家と並ぶことを期待されているのだろうと受け取って、来作の励みにしているとのことでした。
 

 
「一作通したことで、色々と課題が見えてきました。」
温度管理や農薬の散布時期など、前作でうまくいかなかったところは対策を考えておられるそうです。
逆に水管理はうまくいったので前作を踏襲してやっていくということでした。
毎日、潅水した時間、トン数に加えて、天候や温度も記録していました。土壌水分量を計るためのpFメーターも使われていると言うことで、経験不足を補っていけたらと話されておりました。
 
ただ、人手不足という問題に関しては難しいみたいです。
「どうしてもシシトウは収穫に人手が必要です。この面積だったら栽培管理は僕一人でも大丈夫なのですが、収穫に追われて栽培管理もおろそかになりがちでした。」
実際前作では全て収穫すると間に合わないと判断し、途中で5分の2を潰したそうです。
「ちょっとでも出荷したいという思いもありますが、収穫が遅れて大きい実ばかりになるとパック詰めをしている人たちにも迷惑をかけてしまいます。品質も良くないですからね。悪循環に陥る前に減らすことを判断しました。」
ハローワークや求人情報誌を通じて求人を行っているということですが、芳しくないそうです。
「探し方が悪いのか、条件が悪いのか。分かりかねるのですが、須崎での求人がこんなに厳しいとは思っていなかったです。これを見て、興味がある人がいたら嬉しいのですけどね。」
(短期ではあるのですが、他の移住者が仕事が見つかるまでという条件で紹介したことがあります。かなり大変な時期でもあったようで、喜んでおられました。)
 
最後に今後について質問させてもらいました。
「規模拡大!と言いたいところですが、まずは人有りきですね。機械化も視野に入れて労働力の確保が最優先事項です。その一環として、嫁と法人化についても検討しています。あと、これは個人的な興味ではあるのですが、前職の強みも生かして、栽培管理用のプログラムとかも作っていきたいな、と思っています。」
農業というとアナログなイメージだったのですが、この圃場をみると、すでにいろんな機械が動いています。ただ、複合的な判断をするのには向いていないそうで、そこを改善していけたらということでした。
あと、プライベートに関しても、
「今はペット可の賃貸なのですが、うちの犬のために家を建てたいですね。」
 

 
こんな可愛いワンコを2匹飼っておられます。(私は撫でることもできないのですが・・・。)
なんでも2匹とも保護犬で、狭いゲージに閉じ込められていたそうです。
高知は雨が多いので、雨の日でも走り回れるような家だと嬉しいのだけど、と話しておりました。
ワンちゃん達のためにも頑張ってください!!
 
来作のための準備中、お忙しいところありがとうございました。