今回は すさき市民食堂 を取材!
団体代表の 柿谷 望(かきたに のぞむ)さん にお話を伺いました!
 
●【すさき市民食堂】とは
2022年9月より、毎月第一日曜日に須崎市街地にある『交流ひろばすさき』で食事の提供をしています。
食堂の愛称は【うみやまごはん】。大人300円・子ども(17歳まで)は無料で利用でき、市民の交流の場所や居場所を目指して活動をされています。
この食堂を運営している団体が【すさき市民食堂】。代表の柿谷さんを始め、奥様やご友人の方、地域住民の方からも活動内容に賛同いただき、2022年5月に団体が立ち上がりました。

 
●市として唯一【子ども食堂】がなかった
高知県内には現在66か所の子ども食堂があります。(2022年8月末時点)
すさき市民食堂が立ち上がる前、個人で活動された方も居たそうですが、コロナ禍ということもあり活動が無くなり、また「高知家子ども食堂」として県に登録されていた【子ども食堂】が、須崎市は県内11市の中で唯一ありませんでした。
その時、『須崎市に“子ども食堂”が無いのはいかがなものか?』と柿谷さんは疑問に思ったそうです。
「須崎市に無いのは困っている人が居ないからじゃなく、居るけど活動する団体が居ないということに気が付きました。『やってみたいな…』という想いがありましたが、当時は仕事をやりながら他のことに取り組むというパワーや余裕が無かったんです。個人的に社会福祉士の資格を取得して、新しいステージに進みたいという想いも強くなり前職を退職しました。その後は別の仕事に従事していましたが、前より時間も割とできていたので『空いた時間を利用して自分のやりたいことをやろう!』と思い、子ども食堂開設に向けて動き始めました。」
 
●勉強がきっかけで地域に目を向けてみると…
「子ども食堂」という想いが出てきたのは、社会福祉士の資格を取得するための勉強がきっかけ。
2013年に京都から奥様と共にUターンし高齢者施設で働いていた柿谷さん。仕事を通じて高齢者福祉についても分かり、楽しさも責任感もあったそうですが、そこで止まってしまっていたそうです。
「社会福祉士の資格を勉強することで一気に世界が広がりました。前職でも高齢者問題や介護の問題、それについてどうしらたいいのかと考えながらやっていましたがそこで止まってしまっていました。勉強をしたことで、児童、障がい、生活困窮などのあらゆる福祉についての理解や知識が広がると同時に、日本社会にどれほど多くの問題があるのかというのにも気が付きました。高齢者分野に留まるだけではいけないと思い、改めて地域に目を向けた時に『子ども食堂がない』ということにも気付き、誰かが何とかしないといけないとは思いましたが、数年は様子を見ながら勉強を続けていました。」
 
●『誰でも利用していいがよ』
須崎市役所でも【子ども食堂】について説明会が開催されていたそうですが、参加できなかった柿谷さんは参加した方のお話を聞いたり、地域の活動の動きについても情報を集めていたそうです。しかし、その最中『須崎は子ども食堂をやってもタダ乗りする人が居るから上手くいかないんじゃないか』という情報が耳に入ったそうです。
『土地柄にもよるのかな…』と思い、高知市内のフードバンク代表の方に話をしてみると、「子ども食堂ってそんなもん。それでいいがよ。最初の目的は困窮している人が来るところだったかもしれんけど、それに限定してしまうと『あの人(行っている人)はそういう人(困窮者)なんだ』と見られて、行くに行けなくなるし“レッテル”を貼られてしまう。そうじゃなくて、誰もが気兼ねなく利用できるのが、子ども食堂ながよ。」
 
こういった場所があればいいなと思っていた柿谷さんはこの言葉で「土地柄じゃないし、やり方を工夫すればいいんだ。だったら自分がやろう!」と思ったとお話してくれました。
 
●寄付でいただいた野菜をふんだんに
すさき市民食堂で使用されている食材は、活動に賛同していただいた方からの寄付も多くあります。中でも、色々な野菜の寄付をいただいているのが須崎市にある青果卸売会社【株式会社須崎青果】さん。
毎回、旬のものを含めた野菜をたくさん寄付してくれているそうで、その内容を見てメニューを決めているそうです。

 
実際の様子も取材させていただきました!
実はこの日が初めてのイートイン形式での開催!それまではコロナの感染が拡大していたため、テイクアウト方式での開催をしていたそうです。
今回のメニューは『大根カレー』『キャベツとゴボウのサラダ』『スープ』『デザート』でした。

 
大根の甘味が引き立つとても美味しいカレーに仕上がっていました♪
 
調理には須崎中学校や須崎総合高校の学生、ご近所の方などのボランティアスタッフが協力し合って料理を作っています。

 
メニューは決まっていますが、現場での判断でやり取りが行われます。
この日『ししとう』は別の料理で使われる予定でしたが、辛さが出てしまうということで急遽カレーの付け合わせへと変身しました!
「言われたままやるんじゃなく、考えながら皆さんが動いてくれるので本当に助かっています。こちらが指示をしなくても積極的に片付けをしてくれたりと、皆さんの積極性がすごくてそれに助けられています。また、大人のそういう姿を見て学生たちも『何かしなきゃ』と思ってくれている様子で、手持ち無沙汰にならないように『これやりますか?』と声をかけてくれたりするので、作業場の雰囲気は本当にいいです。」(事務局談)

 
調理と並行しつつ、イートイン場所の準備や配膳をするのもボランティアスタッフの皆様。注文が入ればスタッフ同士連携して作業をされていました!

 
●福祉的テーマを設定した“プラスワン”コーナー
【うみやまごはん】を開催する際には必ず福祉的なテーマを設けた“うみやまごはんプラスワン”も同時開催。このコーナーでは色々なことを取り上げて開催されています。
今回取材した際は『子供服お譲り会』が開催されていました。

 
ベビー服はもちろん、保育園~小学生の子どもが着られる服がたくさん並んでおり、子ども連れの方もたくさん訪問されていました。
来場者からは『毎月やってほしい!』との声もあるそうですが、在庫をどこで保管するかなども課題の1つとのこと。
ですが、成長してすぐにサイズアウトしてしまう子ども服を、こういう風に循環できるシステムがあるのは嬉しいですね!
『年4回(シーズンごと)に開催できるように』と検討されていますので、ご興味のある方はぜひ足を運んでみてくださいね!
 
●どんどん周りから声をかけてくれるように
この活動のやりがいについて伺いました!
「『市民食堂をやりたい』ということは事あるごとに色んな人に言っていましたが、本当にできるのか立上げの段階で不安もありました。スタートしたはいいけど『やっぱりできませんでした』とならないか、そうなるなら止めておいた方が良いんじゃないか…と思うこともありました。ですが、いざ始めてみるとメディアにも取り上げていただき、ボランティアスタッフの登録も須崎市内だけでなく他の市町村にお住まいの方からもありました。他にも、新聞に掲載された直後に日高村の農家さんから『お米を寄付したい』と連絡をいただいたり、お米の保管場所を知り合いの農家さんに相談すると保冷庫に預かってくれるようになったりと、本当に色々な人たちが協力してくれています。中・高校生も毎回参加してくれますし、どんどんネットワークが広がっていくのを感じています。私自身は告知やこの活動を続けていくことぐらいしかできていないのにどんどん周りから声をかけていただき、それがやりがいに繋がっています。不思議な化学反応が起きていてすごく楽しいです。」
 
●市民への周知はまだまだ課題
この活動をしていて大変なことや苦労することはどういったところでしょうか?
「高知県への申請書類など、普段見慣れない物も多く、記入も大変です。当日の作業についても、限られた時間のなかでやらないといけないので、どうやればみんなが分かりやすく、混乱しないよう効率よく作業をすることができるかを考えてたりする必要もあります。それをするかしないかでは当日参加するボランティアスタッフの不安もだいぶ違ってきますし、安全に動いてもらうために必要なことなので、そういったことを考える事務的な部分も多くあり大変です(事務局談)。後は、市民への周知もまだまだ課題です。【子ども食堂】となると『大人は行ったらダメなのか』という不安がまだあり、実際に行っても良いかというお問合せもありました。『私が行ったら必要な人に届かないんじゃ…』と言われることもあるんですが、『必要な人に届けるために来て欲しいんですよ』とご説明をさせていただいています。また、情報収集の方法が年代によって様々で、色々な方法を取らないと伝わりにくいところもあるので、利用者の声を聞きながら改善していきたいです。」
 
●須崎市に『パントリー』を作りたい
今後の取り組みについても伺いました!
「現在は食堂の活動のみですが、『フードロス』の問題解決に向けての『パントリー』事業も今後やりたいなと思っています。高知市内に『フードバンク高知』がありますが、フードパントリーが他の地域に無く、大きな企業から子ども食堂向けの支援などもあるのですが、量が量なので振り分けに苦労もしているという話を聞きました。せっかくのチャンスを逃さないためにも須崎にパントリーという場所を作るのも今後の課題です。」
 
●この場所を様々な方の居場所に
最後に、この『うみやまごはん』がどのような場所になって欲しいか伺いました!

 
「自分たちがUターンしてきて思うことは、声をかけてきてくれる人が居ると地域との関わりができていると満足感が得られます。しかし、移住者の奥様の中には孤独な方が多いと感じることもあります。話かけてみると『ずっと人と話してなくて…」という方も実際に居ましたし、こういった誰でも自由に来ることができる場所で、話したくなかったら話さず食べて帰るだけでもいいし、ここに来たら色々な年代の方に会えるところがあるだけでも世代関係なく繋がることができます。生活上の悩みや課題を持っている方がここにきて色んな人と関わっていく中で、問題解決のヒントを得て帰っていただける場所になったり、孤独や孤立状態に居られる方がここを居場所にしてもらうためにこの場所を使っていただければという想いもあります。“プラスワン”でも今後さまざまなことを取り上げ、それを通して市民の方に必要な情報提供や市民の方のためになるようなことを企画することで市民のQOL向上にも繋がればいいなと思います。それが【すさき市民食堂】の『理念』です。」
 
●ボランティアスタッフ登録について
【すさき市民食堂】ではボランティアスタッフの登録も随時行っています!
登録フォームに入力していただき送信するだけ!
開催日等の連絡はボランティアスタッフ同士の『LINE』を使用しています。
最初は「そんなのようせん!」という年配スタッフの方もいらっしゃったようですが、LINEにもやり慣れ積極的に参加いただいているそうです♪
登録フォーム以外にも、電話やメールでも受付可能!それだけではなく、団体スタッフが直接訪問し登録作業をお手伝いしてくれます♪
ボランティアスタッフに年齢制限はありません!小学生でも安全なところでお手伝いができますので、『参加したい』『手伝いたい』と思った方はぜひ気軽にご連絡してみてくださいね!
 
**登録フォームはこちらから!**
【すさき市民食堂】ボランティアスタッフ登録
(Googleフォームが開きます)
 
 
ご協力いただきありがとうございました!
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